霞ヶ関からコンサルティング、そして中国のネットビジネスへ


伊賀「ところで金田さんは昔から、社会貢献活動とか、パブリックなことにも関心が強かったですよね? 

 
マッキンゼーのパートナーとしても、NPO団体への寄付やアドバイザリー活動にすごく熱心だったという記憶がありますが、そちらはどうですか?」
 

金田「今でもいろんな形で支援はしています。最近は、今まで一緒に働いた仲間で、そういうのを始めている後輩らがいるんで、彼らを応援しています」
 

伊賀「たとえばどんな活動をされてるんですか?」
 

金田「ひとつは小沼大地さんという後輩がやっているクロスフィールズというNPOで、途上国での問題解決支援のために、日本のいろんな企業の人の知恵や経験を結集し、役立てていこうという活動です」
 

<クロスフィールズの小沼大地さん>
 
 

伊賀「小沼さんは私の大学の後輩でもあるので、よく覚えています。彼はマッキンゼーに入る前、海外青年協力隊にも参加してたのですよね?」
 

金田「そうです。この団体のユニークなところは、途上国の問題解決をするだけじゃなく、それに参加することで、日本の若手社会人にグローバルなリーダーシップ体験をしてもらい、そういう分野における『リーダーを育てよう』という目的をもったイニシャティブだということです」
 

伊賀「日本のリーダー育成と、途上国の問題解決のふたつを同時に支援しようということなんだ。すごいいいアイデアですね。
 

実は私もこの秋に、『日本に足りないのはリーダーシップだ!』という趣旨の本を出す予定なので、彼の活動には全面的に賛同します。他にも支援されている団体が?」
 


<クロスフィールズの現地活動場面>
 
 

金田「もうひとりもマッキンゼーの先輩の中村俊裕さんがたちあげた、コペルニクという団体です」
 

伊賀「コペルニクって、地動説を唱えた“コペルニクス”から来ているのでしょうか?」
 

金田「パートナーの奥様がコペルニクスと同じポーランド出身でもあり、既存の発想を根本的に変える、という意味で、その名前を付けてるんだと思います。

 
こちらは、途上国での生活向上のために役立ついろんな商品をラストマイルの住民の方々に届けている団体です」
 

伊賀「ウエブサイトを見ると、持続可能性があり、生活を具体的に便利にするいろんな商品を開発し、気軽に寄付できるようにもしているんですね」
 

金田「これまでのダムや道路といった大きなODAではなく、生活密着型で、住民の生活が明日から変わる、そんな援助を志しています」
 

<コペルニクが支援する簡易浄水装置>
 
 

伊賀「彼はたしか国連で働いていた経験がありますよね? 社会貢献系の団体とマッキンゼーの両方で働く人ってけっこう増えている気がします」
 

金田「若い人がビジネスと非営利団体の両方を経験するのは、いいことだと思いますよ。それぞれに活かせる学びが得られますから」
 

伊賀「そうですね。彼らは両方を経験して、今は非営利の活動をしています。金田さんは、やっぱりビジネスで行こうということですね?」
 

金田「私もどちらも関心があるんですが、あちらの分野は彼らのような優秀な人が世界をリードしてくれると信じているので、だったら自分はそれを支援する側に回ろうと思っています」

 


<コペルニクの中村さんと金田さん>
 
 

★ひとりひとりがワクワクできる人生を送ることが社会貢献になる★

 

伊賀「金田さんが、ビジネスの世界で成し遂げたいことは何なんですか?」
 

金田「成し遂げたいというほど具体的ではないんですが、日本人として本気で中国を始めとするアジア市場に向かい合いたいとは思っています」
 

伊賀「“向かい合う”っていい言葉ですね。ビジネスだから利益的に成功することはもちろん、それ以外にも目的があるってことでしょうか?」
 

金田「たとえば今、中国でコーディネーションセミナーというのを開催してるんです。洋服や靴、アクセサリーを含め、垢抜けた着こなし方を中国の女の子達に教えてあげたい。こういう活動には、販促目的以上の意義を感じますね」
 


<中国でのコーディネーションセミナー>
 
 

伊賀「写真を見ても、みんなすごく熱心そうですね。女の子はおしゃれができるのはホントに嬉しいことだから」

 

金田「こちらの写真は、キッズ向けのアパレル紹介なんですけど、日本では子供向けのかわいい洋服はごく当たり前ですけど、中国ではまだまだこれからです」

 

<キッズ向け販促会の様子>
 
 
伊賀「子供ってすぐに大きくなって服が着られなくなるから、ある程度以上、生活に余裕ができないとおしゃれを楽しむのは難しそう」
 

金田「ご存じのように中国は一人っ子政策で家庭の子供が少ないですから、おしゃれな洋服があれば、それを着せたいと思う親はたくさんいます。これからすごく有望な市場でもあります」

 

伊賀「なるほど。お話を伺っていると、金田さんが本気で中国の人のことを考えてる、ってことが、伝わります。それが彼らと向き合うということなんですね」

 

金田「一緒に成長したい、ということですよね。彼らの生活を豊かにして、その恵みで私たちの会社も大きくしたいです」
 
伊賀「いろいろトラブルもあるけれど、日本と韓国、日本と中国は切っても切れない中ですしね」

 
金田「アジアの時代って言われて久しいけれど、そこが本当に主戦場なんだというなら、そこでおもいっきりやってみたいです」
 

伊賀「やっぱり日本市場だと息苦しいというところもあるんですか?」
 

金田「『日本市場がもうダメで、一方で中国は伸びてるからあっちで仕事する』、ということでは決してありません。
 
日本はよくガラパゴスだと言われるけど、それって“ユニークバリュー”があるってことですよね。アパレル、おしゃれという分野では日本はホントに進んでて、それをアジアの人達と共有することで、双方に大きなチャンスが生まれるはずなんです。
 

もちろん向こうの市場はものすごいスピードで成長しているので、この変化というか、ダイナミズムを体感していたいという気持ちも強いです。
 

なにより一回しかない人生なんだから、めいっぱいワクワクできることをやっていたい。そういう機会を貰えているのに、つまらない仕事をしているヒマはないんです」
 

伊賀「私もよく思います。日本人がみんな心からワクワクできる仕事をしたら、この国も大きく変りますよね」
 

金田「本当にそう思います。『ひとりひとりがめいっぱい楽しいと思える仕事をすることが、社会貢献だ』とさえ言えるくらいです」
 


<游仁堂の3人のリーダー 中央がCEOの金田さん>
 
 
伊賀「私も同じ趣旨で、『キャリア形成』という概念を日本に定着させていくことが、とても大事だと思っているんです。
 

キャリア形成を組織に委ねてしまうと、せっかくの能力や志が活かせない人がたくさんでてきてしまいます。
 

このインタビューを読んで、『自分もこんなふうに生きたい!』と思う人がひとりでも増えるよう、私も頑張ります!」
 

金田「そうなったら本当に嬉しいです」
 

伊賀「今日は、数日だけの帰国中にお時間を頂き、本当にありがとうございました。これからもご活躍を楽しみにしています」
 

金田「まだまだどうなるかわかりませんが、頑張ります(笑)!」