“お笑い”の世界で自分の壁を破りたい


伊賀「もし今、出身高校である白百合学園高校の生徒さんの前で講演する機会があったら、後輩達にどんなアドバイスをしますか?」
 

石井「まずは『勉強をきちんとしなさい』と言います。いい大学を出ることで信用も得られるし、職も得やすくなります。
 
反面的ですけど、それによって、リスクをとって自分の好きなことにチャレンジしやすくなるんです。どうせ授業は受けなきゃいけないわけですから、だったらしっかりやるに越したことは無いと思います」
 

伊賀「そういうアドバイスを言われるとは意外でした。芸人になられてるわけだから、『学歴なんて関係ないよ』と言われるかと思ってました」
 

石井「たしかに『そんなにいい学歴があるのに、芸人になるなんてもったいない』と言われることもあります。でもそうじゃないんです。
 

『いい学歴があるから、もったいない』ではなく、『いい学歴があるからこそ、人生どこかで失敗しても、なにやっても立て直せると思える』ということが大事なんです。少なくとも私はそうでした」
 

伊賀「保険をかけるようなものですか?」
 

石井「そうではなく、自分がやってきたことに自信が持てるということです。
 

『私は何をやっても食べていける』という自信、自分が過去にやってきたことへの自信、それが、将来に向けてリスクをとれる原動力になる、という感じでしょうか」
 

伊賀「なるほど。そのためにも、高校生はまずしっかり勉強しなさいということですね。他にはどんなアドバイスがありますか?」
 


<大学の学園祭でバンド演奏>
 
 
石井「『他人と同じではない、自分だけの体験を手に入れろ』ってことです。他の人には語れない、自分の口でないと語れない、そういうものをもたないと勝負できません」
 

伊賀「そのためにはどうすればいいんでしょう?」
 

石井「『正しいかどうか』、『こうあるべきかどうか』、『みんなにすごいと言って貰えるかどうか』ではなく、『自分が好きかどうか』、『おもしろいかどうか』という価値観を大事にすること。それが大事だと思います。人と違うことをすることを怖れていては、自分の人生が手に入りません
 

伊賀「そのことに気がつくまでが大変ですよね」
 

石井「私も人と同じ事をやって、それで初めて気がつきました。大学を出る時は私も、人と違うことをやるのが怖かったんです。でもマッキンゼーで働くことによって、人と違う道を歩むのを、怖がっていたらダメだと気がつきました」
 

伊賀「いったん会社勤めをしたことも、よかったと思いますか?」
 

石井「はい。普通に働いてみたからこそ、今の生活があると思います。今でも弱気になると、もっと普通の会社に入って、組織に守られて生きる人生もよかったかもしれないと思うんです。
 

その一方で今、ホントにやりたかったことにチャレンジできていることを、心からよかったとも思えています」
 

伊賀「ところで、お笑い芸人として成功するには何が大事なんですか? 運、才能、努力? もちろんどの分野でも、ごく一部には天才的な人がいるので、そういう人を除いて、という話ですが」
 

石井「私の感覚だと、努力5,運4,才能1です。同じ事務所の先輩である名倉潤さん(ネプチューン)は、運が9割だとトークライブでおっしゃっていました」
 

伊賀「そういう世界なんだ!」
 

石井「もちろん、相当の努力をした上での『運が大事』ということなんですけど、実力があっても売れていない人がたくさんいる世界ですから」
 

伊賀「運に左右される世界だとすると、いつまで続けるのか、というのも重要な判断ですね?」
 

石井「そうですね。私の場合はやっぱり『やりきった感』が得られるまではやりたいと思います。自分の殻を破って、自分をさらけ出して、ここまでやったら本望だと自分で納得できる状況までは到達しないと辞められません」
 


<ピン芸人大会のR-1に出場>
 
 

伊賀「あんな辛い思いをして入った世界だから、ということですね?」
 

石井「あの時の気持ちを大事にしたいと思うんです。あれだけの決断をして入ったのに、また何かが怖くなって一歩が踏み出せなくなっている自分と対峙していると、忸怩たる思いになります。裸になって踏み出す勇気が必要だとわかっているのに、踏み出せていない」
 

伊賀「でもまだ20代ですよね。自分が心からやりたいと思える道を進んでいるだけでもスゴイです。壁を乗り越える必要があるのにできていない、既にそれがわかっているなら、きっと乗り越えられますよ」
 

石井「なんとしてもそうしなくちゃいけないと思っています」
 

伊賀「頑張ってください。今日はどうもありがとうございました!」