”公の仕事”を目指し、敢えて選んだ“別の道”


伊賀「今日はお忙しいところありがとうございます」
 

<聞き手 伊賀泰代>
 
 

出島「こちらこそ、よろしくお願いします」
 

 
 

伊賀「出島さんは現在、広島県と岡山県という地方自治体で働いていらっしゃいます。でもその前は、北京と香港、さらにインドで学校に通い、さらにその前は外資系のコンサルタント会社で働くなど、キャリアの移り変わりが激しいですよね?」
 

出島「よくそう言われますが、私は小さい頃から公務員志望だったんです」
 

伊賀「えっ? 最初から公務員志望だったんですか?」
 

出島「小学校の高学年の頃には、自分は将来、霞が関で働く官僚になりたいと思っていました」
 
 

★小学校の頃からの官僚志望★

伊賀「そうなんですね。じゃあ、まずは当時の話を教えてください。どんなご家庭だったんですか?」
 

出島「北九州市という地方都市で、ごく普通の家庭に育ちました。父親は高校を卒業してからずっと同じ会社の現場で働いていて、母は専業主婦、兄と私の4人家族です」
 

伊賀「絵にかいたような“いい時代のいい家庭”ですね」
 

出島「そうだと思います。家族の仲が良くて、山登りなど、よくみんなで遊びに行ってました。学校ではソフトボールに熱中してて、ガキ大将ではないけど、ごく普通の明るい少年として楽しい日々を過ごしました」
 

<ソフトボールに熱中していた小学校時代>
 
 

伊賀「勉強はよくできたんですよね? 学級委員とかやってたでしょ?」
 

出島「学級委員、キャプテン、児童会長とか、あれこれやってました」
 

伊賀「ご両親は教育熱心だった?」
 

出島「親に勉強しろと言われた記憶はありません。でも、母は元バックパッカーで、1970年代に欧州を放浪していたんで、私に外交官になってほしいと思っていたみたいです」
 

伊賀「お母さん、すごいんですね!
 
ところで、小学校の作文で、将来の夢を書かされますよね。出島さんはなんて書いたか、覚えてますか?」
 

出島「弁護士と書いたのを覚えています。でも実は、官僚になりたかったんです」
 


<小学校の時の将来の夢には“弁護士”と>
 
 
伊賀「官僚ですか? 親が官僚だというならわかりますけど、周りにそういう人もいなかったのに、なぜ?」
 

出島「一種の刷り込みですよね。親戚とか友達の親とか、周りの大人たちから『お前はきっと東大に行くんだろう。そのあとは官僚になって日本を引っ張ってくれ。その先は大臣だ』みたいに言われていたからじゃないかと・・・」
 

伊賀「あー、それは“地方の優秀な子供を、特定の職業に誘導する典型的なプロセス”ですよね(笑)」
 

出島「そうかもしれません(笑)」
 

<ソフトボール大会での選手宣誓>
 
 

伊賀「そういうのって地味に見えて、実は影響力が大きいんですよね。そのまま素直に官僚になっていく人は、今でもたくさんいそうです」
 

もし同じ場面で大人たちが、『お前はとても優秀だから、将来は会社を興して、世界各国で活躍するに違いない。大成功したら野球チームも買うんだぞ』って言っていたら、多くの子どもたちがそっちを目指すような気も・・」
 

出島「医者か弁護士かとか、末は博士か大臣か、みたいなパターンの刷り込みは確かにありますね」
 

伊賀「地方では特定の職業への礼賛が強くて、優秀な子供たちが特定の方向ばかりに誘導されるので、もっと多彩な道を身近に感じさせてあげたいと考えたのが、このインタビューサイトの立ち上げ趣旨でもあるんです。
 
 

★楽しい中高時代から予定通り東大法学部へ★

伊賀「ところで中高は超のつく進学校ですよね。東大に入るためにはここで勉強しないと、と思ったんですか?」
 

出島「いえ、塾の先生が熱心に勧めてくれたので受験しました(笑)」
 

伊賀「塾の先生の期待通り合格して・・」
 

出島「中一の最初の定期テストでは一番でした」
 

伊賀「すごい!」
 

出島「ずっと一番だったわけではないけれど、自分に自信もついて、楽しい中高時代でした」
 

<中学校の卒業式で答辞を読む出島さん>
 
 

伊賀「そしてなんの迷いもなく東大法学部へ進学したわけですね。入学した時も当然、将来は官僚になるんだと思っていたんでしょうか?」
 

出島「官僚になるのは既定路線ですから、どの省庁にしようかな、と考えていました」
 

伊賀「じゃあ、大学に入ってからも勉強を続けた?」
 

出島「それが、そうじゃないんです。入学後しばらくはバイトばっかりやって、学校にはあんまり行ってません」
 

伊賀「どんなバイトを?」
 

出島「飲食店でのバイトですね」

 

伊賀「出島さんの大学時代は2000年から2004年ですから、ITバブルが盛り上がって、急落したタイミングですけど、ネットやITには関心を持たなかったんですか?」
 

出島「私はITブームにはまったくかすってないんです。東大の法学部って、時代の先端モノにはすごく疎いんです(笑)」
 
伊賀「なるほど(笑) では次回は、大学から最初の就職活動に向けてのお話を伺っていきましょう」