“高校生社長”の失敗から実践する地域再生のプロへ

 

伊賀「最後に、高校生や大学生に向けてアドバイスをお願いします」
 

木下「高校生に言いたいのは、『なんでもいいから学外で活動すべき』ってことです」
 

<取材当日 オフィスにて>
 
 

伊賀「学校の中だけで過ごすと良くない?」
 

木下「残念ながら現在の学校教育は、リアルな社会に全く適合していません。昔は自由な校風で知られた学校でもルールが増えすぎて、最近はとても内向きです」
 

伊賀「学外にというのは、ネットで外の世界を学べということではなく?」
 

木下「物理的に外に出るべきです。ネットは活用すべきですが、それはあくまでツールです。ネットを利用することで、高校生でも昔よりずっと外に出やすくなっていると思います」
 
 

★失敗から学ぶ★

 

木下「それと、一般的に親や先生は、“ミソがつかないキャリア”、いわゆる失敗のない順調でキレイなキャリアを薦めるでしょ。
 

僕が高校の時に社長になるといった時に反対したのも、大学の先生でした。
 

『早稲田の付属高校にいれば、そこそこの成績でも順調に進学・就職できるんだから、下手なことはしないほうが君のためだよ』と。
 

けど、僕は無視して社長になった。そして失敗したわけですが、これが本当によかった。

 

早いうちに猛烈な失敗をしたから、一定分野の専門性を獲得できた。人脈も圧倒的に広くなった。

 

学校では協調性など、“他の人と同じであること”が評価されるけど、実社会は逆です。
 

他の人と何が違うことできるのか、が問われる。
 

だからさっさと外にも出て行って、自分なりの専門性と人脈を作るべきなんです」
 

伊賀「失敗してもたいしたことではないと?」
 

木下「むしろ失敗したほうが、いいです。
 

失敗はリスクに見えるかもしれないけど、失敗しないほうがもっと大きなリスクです。
 

失敗してこそ学べること、失敗しないと学べないことがたくさんあります。
 

それに、失敗を通して『失敗を恐れなくなる経験』、『他の人と違うことをやるのが怖くなくなる力』を得ることも重要です。
 

だから、周囲の大人達の保守的なアドバイスは聞かないほうがいい。
 

過去の人が生きてきた時間と、これから僕たちが生きていく時間は別ものなんです。
 

反対されてもどんどん積極的に外にでて、いろんなことに挑戦したほうがいい」
 

伊賀「学校で学ぶ、ではなく、社会で自分を鍛えろってことですね。社会と学校の最大の違いはなんですか?」
 

木下「学校というのは、不自然なくらい均質的です。特に受験を経た学校では、学力レベルも均質だから特にそういう傾向が高い。
 

しかも、学内にいる大人は教師だけと、とても特異な環境です。世の中にはものすごいいろんな職業の人がいる。考え方も驚くほど違います。
 

そういう人達の存在も知らず、触れあうこともなく、似たような人達だけと一緒に過ごし、勉強や部活など、決められたことだけを経験して大人になってしまう。
 

そして社会にでたらいきなり「他者とは違うビジネスを自分で考えろ」と言われたら悩みますよね。
 

限られた人としか触れあわずに高校や大学時代を過ごしてしまうことは、“すさまじくヤバイことだ”という認識が必要です」
 


<高校3年生の時、“IT革命”という言葉で流行語大賞を受賞>
※ 右から 3人目 学生服を着ているのが木下さん
 
 

伊賀「木下さんは、本を読んで実際に商店街に電話をするなど、行動力がすごいですよね」
 

木下「メンバー募集とサイトに書いてあったんだから、電話してみるなんてたいしたことではありません。なんのリスクもないです」
 

伊賀「でも、『自分はまだ高校生だし』と思ってしまいそうですが」
 

木下「高校生にもなれば立派な思考力をもった人間ですよ。そこら辺の何も考えていない大人より、よっぽど活躍できる可能性があるんです。
 

ぜひ、自信を持って欲しい。『まだ高校生』ではなく、『もう高校生』なんです。
 

今、自分から動く人は、欲しいものをどんどん手に入れやすくなっています。
 

反対に自分で動かない人は、会社や上司から言われたことだけをやる仕事に就くことになる。
 

そんなんだと、嫌でも『他人に言われたままのことを我慢して続ける人生』になってしまいます。絶対に自分から動いたほうがトクですよ」
 
 

★自分で稼げる人間へ★

 

伊賀「地方再生に関わりたいと思っている人へのアドバイスはありますか? 高校生に限らず、大学生、若手社会人でも最近はそういう人が多そうです」
 

木下「まずは稼げる人間になれ、ということです。

 

街作りを仕事にするというのは、見も知らずの他者の生活に責任を持ち、改善するということです。
 

他者の生活に責任をもつためには、最低限、自分は自分で食べていけることが前提です」
 

伊賀「公務員としてとか、補助金をもらって、そこから報酬を得ているようではダメだと?」
 

木下「自分で稼げない人が、稼げる街を作ることはできません
 

自分のやりたいことに自分の資金を投資せず、税金という他人の稼ぎを使っていては、街が活性化するなんてありえない。
 

公的な資金は、社会的な弱者のために使われるべきものであって、活性化を志す人間がもらうものではありません。
 


<オフィスでの会合風景>
 
 

木下「例えば、公務員はこれから最も過酷な仕事になります。人口は減り、財政も厳しく、採用も絞られる中、キツイ仕事を少人数で回さなくてはならなくなるわけです。
 

公務員になって安泰だ、なんていっていたら、それって寧ろ街の稼ぎを食い散らかして衰退させることになりますから」
 

伊賀「稼げる人になるには、どうすればいいんでしょう?」
 

木下「具体的な技能を身につけることですね。国語、社会、理科、英語、みたいにいろんなことが平均的にできても稼ぐことはできません。
 

それより、蕎麦打ちでもマンガを書くでも何でもいいから、自分はコレができるという技能を身につけたほうがいい」
 

伊賀「とはいえ何が街作りに役立つのかわからないから難しい・・・」
 

木下「そういえば、街作りに興味がある人の中には、御用聞きみたいな人も多いんです。
 

『この地域で必要なものはなんですか? 自分は何をお手伝いすればいいでしょう?』って聞く人のことなんですけど、
 

一見いい人のように見えますが、これでは単なる“人手”(ひとで)にしかなれません」
 

伊賀「付加価値の低い仕事しかできないから、報酬も高くならないし、地元への貢献も大きくないってことですね?」
 

木下「そうです。必要なのは『自分にはコレが出来る』という専門性とか強みをきちんと持って、『私はこの地域にこういう貢献ができます』という形で入っていくことです」
 


<高校時代 イベント企画でもリーダーシップを発揮>
 
 

伊賀「若いから、まだ何もできないから、とりあえずお手伝いにいけばいいというものではないと?」
 

木下「人手が足りていない高齢化が進んだ地域では、若者が行くだけで大歓迎してくれます。
 

でも、そういう地域に受け身でお手伝いに行っても、出せる価値は限られていいます。
 

確かに地元の人は喜んでくれるけど、それで地域が再生することはありません。
 

そういうのは福祉的な取組みとしては意味があるかもしれませんが、少なくとも活性化事業ではないのです」
 

伊賀「木下さんはまだ 30代半ばですが、今後はどんなことをやっていきたいんですか?
 

木下「これからは画期的な科学技術が、街作りや社会のあり方を根本から変えていくと思います」
 

伊賀「たとえば?」
 

木下「自動走行車が当たり前になれば、高齢者が多い街でも移動が確保できるし、ロボットや人工知能も街作りの方法論を根本から変えていくでしょう。
 

そしてそれは日本だけとか、地方都市だけとかではなく、海外も含めて一体的に展開されていくと思います。
 

街づくりはドメスティックな取り組みではなく、極めてグローバルな取組みになります」
 

伊賀「それはとても楽しみですね。これからも期待しています!」
 

木下「ありがとうございます。頑張ります!」